仙洞御所

後水尾上皇の仙洞御所、拝観レポート

2006年11月12日(Sun)
仙洞御所
仙洞御所 京都大宮御所からの続きです。 仙洞御所紅葉橋 北池と南池の掘割にかかる紅葉橋を渡ると、 仙洞御所紅葉山 紅葉の木々で一杯の紅葉山に入ります。仙洞御所は京都御所と違い、お庭の拝観が中心です。紅葉山が赤く染まる頃にぜひ見に行ってみてください。 仙洞御所 更に汀線に沿って歩みを勧めるといよいよ南池の二つの中島が見えてきます。 仙洞御所 見事な藤棚が設けられた八ツ橋です。この八ツ橋は中島と中島を短い石橋でつなぎ、東岸にかけて、反橋が渡されるなど、趣向の異なる橋が渡れるように工夫されています。 仙洞御所 反橋を渡った所にはかつては滝殿、釣殿、鑑水亭などの建物があったそうですが、焼失でいまはもう見られません。 仙洞御所 根っこを見ると年代を重ねているのがよく分かります。いつかこの藤が枯れてしまわないように根のすぐ横にも新しい藤を植えているとのことです。 仙洞御所 水戸藩より献上された珍しい形の寒水石灯篭(雪見灯篭)です。 仙洞御所 南側一帯には美しい州浜が広がっており、楕円形や平たい粒の揃った11万1千個の石が池の中程まで緩やかに敷き詰めてあります。玉石を敷き詰めたものは京都御苑にもありますが、柔らかな広がりを感じさせる点においてはここ仙洞御所に勝るものは無いと言われています。 仙洞御所 余談ですが、この石一つにつき、米一升の約束のもと、交換したんだそうで、献上の際は桐箱に入っていたとか。最近はカラスが来てひっくり返すので釣り糸を張ってありました。 仙洞御所・雄滝 また、対岸には自然石と切り石を組んだ出島の護岸が見事に眺められます。紅葉の下にはとうとうと布落ちする雄滝、幅80cm、高さ180センチなんだそうです。 その右手には三畳敷きの大きな平石が見られ、こちらは草紙洗の石(そうしあらいのいし)と呼ばれているんだそうです。こちらには大伴黒主と小野小町の有名なエピソードがあります。

ともに平安時代 六歌仙になっている大伴黒主が小野小町を妬み、宮中で歌合わせがあった折に、小町の歌が万葉集に載っていると訴えたが、小町は、その万葉集をここで水で洗い、この歌が最近書き加えられたことを証明し、身の潔白をはらした場所といわれています。 仙洞御所 更に池に沿って回っていくと悠然台という高台が見えます。 古墳跡 こちらからは後水尾上皇が祇園祭を登って見ていたとか?伝えられています。 写真はその近くの古墳跡です。 万葉の歌人柿本人麻呂を祀った小社 万葉の歌人柿本人麻呂を祀った小社がありました。 氷室氷室です。ここで平安時代、冷やしたり氷を作ったりして光源氏が食べたと伝えられています。 醒花亭 醒花亭が見えてきました。 醒花亭 ここ醒花亭は庭園の最も南に位置にあり北面している茶亭です。

南池を一望する格好の場で、今はない止々斎、鑑水亭とともに回遊式庭園における三店の一つとされてきました。 醒花亭正面の玄関には廂を付け出し、腰高障子をいれ、その右は奥に四畳半の書院、手前には五畳の入側(縁側)を取り、書院と入側の境に建具を入れないところが特異といわれています。 醒花亭 扁額には

「夜来月下に臥し醒むれば花影雲飛して人の襟袖に満つ雅なること魄を氷壺に濯ぐが如し」

と書かれています。 醒花亭 醒花亭の醒花はこの李白の詩から取られたもので、入側の東、鴨居の上に拓本の額として掲げられています。額の字は中国明時代の文徴明(ぶんちょうめい)の筆です。この建物は煎茶で言う三店式(酒店、飯店、茶店)ともいい、いずれの場合も利用できるように作られています。 朝鮮灯籠 東の庭には「ふくろう」の銘のある手水鉢を据え、飛石を配し、銭型の蹲いと加藤清正献上の朝鮮灯籠が植え込みに植わっていました。 仙洞御所・八ツ橋 そしてまた、先ほどの八ツ橋を見ながら汀線を回遊していくと 又新亭 最後に又新亭という茶室が待っています。 又新亭 又新亭は明治17年(1884年)に近衛家から献上された茶室です。もともとこの場所には修学院離宮から移築した茶室 止々斎があったそうですが、火災により焼失しました。 又新亭 茅葺きと柿葺きの屋根と大きな丸窓を備えた茶室で、中門により内露地と外露地に隔てられています。四つ目垣で囲むことで結界を設け、ここだけは侘茶の小天地を形づくっています。 又新亭 亭の門外に外腰掛があり、紅葉山裾野の蘇鉄山と相対しています。 又新亭 こちらの又新亭は雅子様が先日入られたそうですが、写真のように刺のある四つ目垣を見るといかにも女人御所らしい茶室になっているのが解ります。 仙洞御所最後に州浜に沿って直線に広い道があります。この道は桜の馬場と呼ばれ、延享4年(1747年)に桜町上皇が歌人冷泉為村に選ばせた仙洞十景の一つ、醒花亭の桜として挙げられています。

当時の仙洞十景は寿山の早苗、古池の山吹、茅葺の時雨、神祠の夜燈、滝殿の紅葉、釣殿の飛蛍、鑑水の夕照、悠然台の月、醒花亭の桜、止々斎の雪です。 大宮御所御車寄 最後にもう一度 大宮御所に戻って終了です。

仙洞御所を訪れてみて、返す返すも日本の風土を活かした木造の建築というものははかない物だと思いました。と同時に風流人として名高い後水尾天皇に対して更に興味を深めました 。

当時としては異例、宮家ではなく、徳川秀忠の娘 和子(後の東福門院)を妻にもらうのですが、幕府と天皇の間の軋轢、父子の不和に嫌気がさして上皇になり、仙洞御所と修学院離宮に移り住みます。今回のように彼ゆかりの地どこを訪れても彼の多芸ぶりの片鱗が随所に込められていました。


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